【声劇】偏愛

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– 独り言のように
この子にはどの服が似合うだろうか
ボクの選んだものだ、どれも似合うに違いない
そうだ、またこの子用に新調しよう
新しいお気に入りの子にお古などは着せられない
この子にぴったりのものを……

– ××が目を覚ます
おや、お目覚めかな。わが愛しの君
思ったよりも目が覚めるのが早かったね
キミとははじめまして、になるね

今いる場所、つまりここは私の家さ
私がキミをここに招いたんだ
私はきれいなものや美しいものを集めるのが好きでね
見た通り、いろいろなものが飾られているだろう?

キミにはここにあるものがどう見えているだろうか
美しいと感じるかい?

どうも、私はただ綺麗で完璧なものよりも
どこか歪な形をしているものに魅かれてしまうクセがあるみたいでね、
私外の人にはここにあるものの美しさがあまり理解できないようなんだ。

たとえば、この人形。
右目はルビーのような瞳で綺麗だが、左目は光を失っている。
この子には世界が半分しか見えていないんだ。
それをかわいそうだと思うかい?
私はそうは思わない。
この歪さこそが美しいと思った。
見たくもない世界を見るのをやめたんだ、と。

まぁ、この話は余談だったね。

キミをここに連れてきた理由を話しておかないと。

一言でいうと、キミが私の理想になれると思ったからだよ。
キミは美しい。そして美しいがゆえに儚い。
まさに今、私が探して求めていたものそのもの。

しかし、ここにいる限りキミの意思はいらない。
私の人形としてこれからを生きるんだ。
最後まで愛してあげると誓うよ。
キミと出会えたことは運命だ。
不安なことなんて何もない。

ここにいる人形たちは皆、今まで私が愛してた子たちさ。
人間のままだと、時間が経つにつれて姿かたちが変わってしまうからね。
そうなる前に私の手で理想の状態のままでいられるように新しい命を与えてあげている。

いい考えだろう?

キミも同じように、永遠の命を手に入れられるんだ。
美しいまま。永遠に、ね。

わかったかい?


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しろの こな
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